赤ちゃんの様な、なめらかなたまご肌を目指すなら、上手く摂り入れたい栄養素が「脂質」です。
脂質のカロリーは1gあたり9kcalになり、3大栄養素である「炭水化物」「脂質」「たんぱく質(コラーゲン)」のうち、もっとも高いエネルギーを生み出す大切な成分です。
そんな脂質は美肌効果も高いので、積極的にしっかり摂り入れたい栄養素です。
脂質の摂りすぎはニキビの原因にもなりますが、美肌の為には必ず必要な成分です。
脂質はどんな働きをしているの?
脂質と聞けば「太る」や「身体に悪い」といったイメージを持っている人は非常に多いようです。
確かに脂質の過剰な摂り過ぎは、肥満の原因になったりニキビなどの肌トラブルにもつながります。
でも実は脂質は細胞膜の形成をしたり脳の機能を正常にしたり、体温を保つなど人間が生きていく為に非常に大きな役割を果たしているのです。
セラミドと脂質の切っても切れない関係
セラミドと脂質には深い関係があるのをご存知でしょうか?
実は脂質がなければセラミドは存在できません。
その理由はセラミドは脂質の中の必須脂肪酸が原材料となって作られているからです。
この必須脂肪酸という成分は人間の体内で作ることができないため食事などから摂取する必要があります。
柔らかい肌に必要な女性ホルモンも脂質から作られている
女性らしいすべすべの柔らかい肌にしてくれる働きがある「女性ホルモン」も脂質の中のコレステロールという成分を原材料として作られています。
つまり、脂質はセラミドや女性ホルモンといった成分の良し悪しを左右するほど、美容や美肌に大きな役割を担っているのです。
また脂質はビタミンAの他、ビタミンD、E、Kなどの油脂に溶ける脂溶性ビタミンの吸収力を高める役割もあります
脂質が多く含まれる食べ物
ここまでで、とにかく脂質は美容効果が高くて美肌には欠かせないことが分かって頂けたと思います。
それではどの様な食べ物に脂質が多く含まれているのかについて、厚生労働省が公表している「日本食品標準成分表2015年版」をもとに調べてみました。
当然ですが、食べ物というよりは「天然の油」そのものの方が脂質は多くなるので、含有量の上位は油類が占めています。
その中から特に脂質が多く含まれている植物油を紹介します。
えごま油
えごまはシソ科の1年草の植物で別名は「ジュウネン」と呼ばれています。
えごまには体内で「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を作る原材料となるα-リノレン酸を豊富に含んでいます。
またえごま油は加熱すると簡単に酸化してしまうので、ドレッシングなどに向いています。
えごま油は劣化すると魚臭くなりますので、臭いが気になる場合は品質が悪くなっているサインです。
大豆油
アメリカ、ブラジル、中国などが原産のマメ科一年草です。
大豆はビタミンA,B,D,Eや22種のアミノ酸を含有していて、日本では代表的な食用油として広く使われています。
また、コレステロールの低下や動脈硬化の防止といった働きもあります。
ナタネ油(菜種油)
主な産地は中国で、菜の花(アブラナ)の種子のことでコレステロールの低下や抗酸化作用があります。
ナタネ油にはオレイン酸という脂肪酸が含まれています。
オレイン酸は悪玉コレステロールを減らしてくれる効果があるといわれています。
オリーブ油
オリーブオイルには高品質の「ピュアオリーブオイル」とオリーブの実を絞った「エキストラバージンオリーブオイル」があります。
オリーブ油はオリーブの実独特の深いコクと香りが特徴で、パスタ料理などにぴったり。
また、サラダドレッシングとして使っても食材の味を引き立てる事ができます。
アマニ油(亜麻仁油)
アマニ油は効率よくオメガ3脂肪酸を摂取する事ができる人気の油です。
亜麻仁油は亜麻科の一年草の種子(亜麻仁)から搾られる天然の油で、熱に弱く酸化しやすいのが特徴です。
また皮膚トラブルの改善にも効果があります。
ひまわり油(サンフラワー油)
ひまわりのから搾油した植物油で、別名は「サンフラワー油」ともいいます。
ひまわり油は、なたね油や大豆油と共に人気の高い油で、マヨネーズやマーガリンに利用されています。
大きく2種類のひまわり油があり、在来種から作った「ハイリノールタイプ」はリノール酸が多く、品種改良によって生まれた「ハイオレックタイプ」はオレイン酸やビタミンEを多く含むのが特徴です。
味にもクセがなくて色んな食べ物によく合うので、ちょっとした炒め物やサラダドレッシングにも利用されています。
サフラワー油(紅花油)
ベニバナからとれる油で、別名「紅花油」との呼ばれています。
サフラワー油にもリノール酸が多いタイプとオレイン酸が多いタイプがあります。
現在はオレイン酸が多い方が主流で、化粧品や美容オイル、クリームなどに使われています。
脂質の摂取量の基準
一般的に1日に必要な脂質の摂取量はよくある「グラム(g)」単位ではなくて「脂肪エネルギー比率(%エネルギー)」という単位で表されます。
一般的には成人が1日に必要なエネルギーの20~30%程度を脂質から摂るのが理想とされているようです。
例えば1日に2,500kcalが必要だとすると、毎日脂質を60g以上は摂取する必要があります。
ただ、現代の日本では食事の欧米化によって脂質の摂取量が増えがちで、肥満や生活習慣病の原因として問題視されています。
脂質に関する注意点
脂質は多種多様であり、いいものばかりではありません。
良質な脂質だけを選んで上手に身体に摂り込む工夫をしましょう。
脂質が不足するとどうなる?
脂質が不足すると肌に悪い影響が出やすくなります。
まず、先ほどふれたセラミドが作られなくなるので、肌の水分を保つことが出来なくなります。
そうなると肌の潤いは一気に失われ、肌の乾燥が進みカサカサします。
また、脂質は体内の炎症の抑制に関わっているので、アトピーなどのアレルギー悪化の原因にもなります。
また極端な糖質オフダイエットによっても体脂肪が落ちてホルモンバランスが乱れることで月経不順などの症状を起こす原因になります。
脂質の摂りすぎに注意
農林水産省によると脂肪エネルギー比率(脂質からの摂取したエネルギーが総摂取エネルギーに占める割合)が30%を超えている人の割合は、20歳以上の女性では約40%という驚きの結果がでています。
一般的に女性の方が脂肪エネルギー比率が高い傾向にあります。
それは食生活の欧米化や偏食、外食やコンビニの利用が増えた事が理由です。
いくら肌にいいからと言っても、脂質を過剰に摂りすぎると体内に中性脂肪として溜まるので、肥満や生活習慣病を招く原因となります。
オレイン酸を摂ろう
オレイン酸は植物油の主成分である脂肪酸の種類で、別名を「オメガ9」といいます。
オレイン酸は身体に良い油と言われていて、次の様な特徴があります。
悪玉コレステロールを下げる
善玉コレステロールには影響しない
酸化しにくい
体内でも作られる
オレイン酸は紅花油やオリーブオイル、なたね油などに多く含まれています。
過剰摂取は肥満や病気などに大きな影響をあたえます。
まとめ
肌のためにはお肉を食べてタンパク質を摂るのも大切ですが、脂質を上手く摂り入れると、セラミドや女性ホルモンが活発に作られるようになる為、美肌への効果があります。
その他にもビタミンCやビタミンE、食物繊維などもバランスよく摂取する様に心がけましょう。
脂質を多く含んでいる植物油は身近にたくさんあります。
サラダにかけるだけの手軽に使えるものも多いので、ぜひチェックしてみてください。
- えごま油
- 大豆油
- ナタネ油
- オリーブ油
- アマニ油
- ひまわり油
- サフラワー油
これらを意識的に上手に摂り入れる事で美肌効果を高めることが期待出来ます。
今までダイエットの為と「脂質」を控えていた人も、お肌のケアの為に少しずつでも普段の食生活に脂質を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし過剰摂取を繰り返して体内で脂質の流れに異常がきたすと、代謝にも影響を及ぼす場合があります。
肌の悩みを解消するためには脂質だけにこだわるのではなく、トマトや人参などの野菜や卵などを摂る様にしましょう。