一枚に見える肌は、実は一枚ではなくて複層構造になっている事をご存知でしょうか?
美肌を目指すなら肌の構造や役割を知っておく事は大切な事です。
なぜかというと肌の構造や役割を知っていれば、自分の肌の状態や使っているスキンケア用品が肌に合っているのかだけでなく、体調の変化にも気付くことができます。
肌の役割りは大きく分けて4つあります。
- バリア機能
- 体温調整機能
- 新陳代謝機能
- センサー機能
この記事では、肌の構造と働きについて解説していきます。
肌の構造
出典:https://eijingukea.nahls.co.jp/mechanism/shinpi-hada/s/
肌は大きく分けると3層構造になっています。
一番外側が表皮
その奥が真皮
一番奥が皮下組織
です。
肌の厚さは場所によって違いますが、表皮+真皮の厚さは顔が2㎜で、一番薄いまぶたでは0.6㎜と非常に薄い層なのです。
ちなみに手の肌は分厚くて、表皮だけで1.1㎜もあります。
表皮の構造と働き
表皮はさらに4層構造に分かれています。
一番外側が角層(かくそう)
その奥が顆粒層(かりゅうそう)
さらに奥が有棘層(ゆうきょくそう)
一番奥が基底層(きていそう)
肌の細胞(ケラチノサイト)は表皮の一番奥の基底層で生まれて、角層に向けて形を変えながら外側に押し出されていき、最後は垢となって剥がれ落ちます。
ケラチノサイトは他の細胞に比べて約60倍の硬さをある為、表皮で皮膚を形成してから肌を守る働きがあります。
この一連の周期をターンオーバーといいます。
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【ターンオーバー正常化の方法】乱れの原因を改善・促進して健康な肌へ
角層は折り重なった角層細胞とその間を埋める細胞間脂質で形成されていて、細菌やウイルスから肌を守ったり肌の水分が蒸発するのを防ぐ働きをしています。
真皮の構造と働き
真皮は表皮のすぐ下にあって、3つの層で構成されています。
真皮は肌のハリや弾力に大きく関わっている部分です。
一番上が乳頭層(にゅうとうそう)
その奥が乳頭下層(にゅとうかそう)
一番奥が網状層(もうじょうそう)
真皮の成分の70%がコラーゲンで構成されています。
真皮の中はコラーゲンの他、エラスチンやヒアルロン酸が含まれており、さらにこれらの成分を作ることができる線維芽細胞が含まれています。
コラーゲンは繊維状のたんぱく質で、肌にハリや弾力を与えます。
ヒアルロン酸は細胞と細胞の間を埋めていて、水分を多く抱え込んで肌に潤いを与える働きがあり、エラスチンはコラーゲン線維を支える働きがある弾性繊維です。
真皮はコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの働きによって肌を支えると共にハリや弾力を与え水分を抱え込んで瑞々しい素肌を維持する役割りがあります。
皮下組織の構造と働き
真皮のさらに奥にあるのが皮下組織ですが、いわゆるぜい肉と呼ばれる部分です。
皮下組織は皮膚と筋膜をつなぐ組織で、表皮と真皮を支える土台となる組織で、皮下脂肪を主成分として作られていています。
内部には静脈や動脈などの血管が通っていて、そのためとても分厚いのが特徴です。
皮下脂肪の働きは、外部からの衝撃の緩衝機能や体温を保持するなど人間にとって大きな役割を果たしています。
肌の働きとは?
冒頭で触れましたが、肌は4つの役割を果たしています。
1つずつ紹介します。
外敵や刺激を防ぐ【バリア機能】
肌は外気と直接触れる部分で、第一線で外敵から私たちを守ってくれています。
外敵とは次のようなものが挙げられます。
- 細菌
- ウイルス
- 紫外線
- 汚れ
- 花粉
- PM2.5
- 黄砂 など
これらの外敵が体内に侵入すると、例えば細菌やウイルスだと感染の恐れがあり、紫外線の場合はDNAがダメージを受ける恐れがあります。
それをブロックして身体を守ってくれる機能を、肌のバリア機能といいます。
また、このバリア機能によって肌の内部の水分を体内に留めておくことができる働きもあります。
細胞が生まれ変わる【新陳代謝の機能】
もし肌が生まれ変わらなければ、肌はどうなるのでしょう。
肌の表面には古い角質が重なってカサカサのガサガサになり、紫外線によって作られたメラニンが排出されずに肌がくすんでしまいます。
新陳代謝が正常に機能する事ができれば、体内の不要な水分を汗腺から汗として排出したり体内に生成されたメラニンを排出する事ができるのです。
これらの機能のことを肌のターンオーバーと言います。
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サメの歯は折れてもすぐに次の歯が上って来て、新しい歯に生まれ変わります。
人間のターンオーバーもサメの歯と同じように常に生まれ変わっているのです。
外気温に左右されない【体温調節機能】
肌の役割りが生命に関わっている事を一番わかりやすい機能が、体温調節機能です。
前項で触れた汗をかく事には、体温を一定に保つ働きがあります。
身体が「暑い」と感じた時には、自然に汗をかく事で体内の熱を逃がして体温をコントロールしているのです。
逆に体が寒いと感じた時には、真皮層にある立毛筋が縮みます。
これはいわゆる「鳥肌が立った状態」です。
そうする事で、体内の熱を逃がさない様にして外気の冷えから身体を守るのです。
熱い冷たい痛いを感じる【センサー機能】
これは私たち人間に備わっ五感のひとつです。
温度や痛みの他、何かに触れたり、「触り心地がいい」などの感覚って感じた事があると思います。
これらの感覚を「温痛覚」と言います。
この温痛覚を感じ取るのが、マイスナーと呼ばれる真皮層にある神経細胞です。
マイスナーが温痛覚を感じ取って脊髄や脳に向けて信号を送る事で体温を一定に保ったり、熱いものを触った時に反射的に手を引くなど、危険を回避する事ができるのです。
スキンケアで肌に触れるて心地よさを感じると、肌にいいホルモンが分泌されるのもこのセンサー機能が働いているからです。
まとめ
薄っぺらい肌が実は多くの層で構成されていて、その肌は思っている以上に多くの働きをしている事が分かってもらえたと思います。
それぞれの層が互いに働きを分担していて、それらが合わさってさらに臓器として大切な働きをしているのです。
その肌は体重の約16%を占める、最大の臓器なのです。
だからこそ、スキンケアを軽く考えるべきではありません。
肌の構造を知って正しいスキンケアやエイジングケアをすれば、きっと健やかな美肌に近づけるでしょう。